人工カンナビノイド時代の幕開け

人工カンナビノイド時代の幕開け

近年の大麻の破壊的なイノベーションの多くは、THCやCBDのようなカンナビノイドを生成する植物の能力から派生しています。しかし、レアカンナビノイド(CBG、CBN)に関しては、従来とは別の製法を取ることで、より良い、効率的な結果が得られる事が最近注目を浴びています。

大麻草を必要としない製法

大麻植物を必要としないカンナビノイドを生産する代替的な方法が発見されたのです。この方法を使って海外で商業生産されているレアカンナビノイドはCBG、CBN、THCV、THCAのようなあまり脚光を未だ浴びていないカンナビノイドです。

酵母菌に大麻の特定の遺伝子を注入することで、複数のバイオ企業が酵母にカンナビノイドを含む膨大な数の化合物を実験室で生産させています。

BioMediCan Inc.という企業をを例に挙げましょう。同社は「ユニークな経路」と「ユニークな酵母を使って生産している」とBioMediCanのCEOで分子生物学者のマキシム・ミケエフ氏はインタビューで述べています。

このユニークな方法こそカンナビノイド生合成製法です

BioMediCanは、希少なカンナビノイドやその他の高価化合物を生産するための生合成プラットフォームを開発できたのです。

大麻草の含有率が少ないために高価となっているカンナビノイドに狙いを定めているため、THCやCBDの市場にはさほど価格的な影響はないと思われます。現に、BioMediCanのCFOであるデニス・オニール氏は、「我々は、栽培、収穫、抽出、精製のビジネスを行っている誰とも競合しているつもりはない」と述べています。

このバイオテック企業は、遺伝子組み換えされた酵母の独自開発バージョンを使って、大麻植物を必要とせずにカンナビノイドを生産しています。その結果で得たカンナビノイドは、自然界に存在するそれと生物学的に同一になるのです。

さらにバイオメディカン社が使用している方法は遺伝子組み換え酵母を使用していますが、最終商品であるカンナビノイドには遺伝子組み換え酵母は含まれていません。よってカンナビノイドはノンGMOとなります。

レアカンナビノイド – 右肩な市場

Credo Science社のCEOであり、GWファーマシューティカルズの元メディカルアドバイザーであるイーサン・ルッソ氏によると、レアカンナビノイドは「将来的には重要な研究と治療上の関心事になるだろう」と言うことです。

THCとCBD以外の植物性カンナビノイドは、研究と投資の面では数年~数十年遅れていますが、がん、自己免疫疾患、その他の様々な疾患の治療における有望な開発に関しては、今日までのエビデンスは非常に有望である事が言えます。

CBGには神経保護作用があり、大麻の抗炎症作用や鎮痛作用に一役買っています。CBGはエンドカンナビノイド受容体との親和性が高く、多くの疾患領域で大きな可能性を示していることが、研究で分かっています。

もう一つのマイナーなカンナビノイドであるCBNは、鎮静作用、睡眠延長作用、抗炎症作用、抗痙攣作用があることが研究で明らかにされており、CBDに勝るとも劣らない潜在能力を秘めています。

希少なカンナビノイドが安くなるのか?

何十年にもわたる大麻品種の勾配によって、大麻草から含有率30%までのTHCまたはCBDを抽出することができます。

レアカンナビノイドは、自然に植物の中に少量しか存在しないため、生産するには非常に高価になります。

人工生合成カンナビノイドは、植物から抽出されたものよりもはるかに費用対効果が高いです。2020年11月の卸売市場では、CBGAは1グラムUS20ドル、CBNは1グラムUS40ドル、THCVは1グラムUS60ドルで販売されています。

BioMediCanは、その生合成法により、これらの希少なカンナビノイドを全て1グラムUS1ドル以下で生産することができます。

通常の農法とは異なる環境での生産ということは、この方法でカンナビノイドを生産している企業は、アメリカで問題になっている山火事やその他の環境破壊のような予測不可能な出来事の影響を受けないといので、供給が安定するというプラス面もあります。

レアカンナビノイドがCBDに代わる可能性のある代替品として注目を集めるようになった途端、多くのCBD製品メーカーがCBG、CBN、THCAなどを含むウェルネス製品を発売し始めました。

しかしこれはCBDを置き換えるという意味ではなく、大麻エキスに含まれるTHCやCBDの「補助成分」としての価値を証明するために、製品の付加価値を高めるためなのです。月単位でCBD製品は爆発的に増えています、そのため、メーカーは、市場での差別化を図り、より効果的な製品にするために、追加の化合物を常に探しているのです。

合成カンナビノイドの方が天然より良いのか?

バイオメディカンのオニール氏は、「私たちにとって重要な点の一つは、プロセス中のいかなる時点でもTHCを生成しないため、連邦政府や州の規制の外にあるということです」と語る。

同氏は、生合成されたカンナビノイドは、土壌からの汚染や農産物に使用される有毒汚染物質の影響を受けないため、大麻製品よりも安全性が高いと付け加えている。

また、CBDやTHCは天然由来のため、収穫毎に若干含有率にズレが生じます。合成カンナビノイドは毎日収穫出来、一貫した含有率を安定して出し続ける事ができるのも強みです。

まとめ

合成カンナビノイドの歴史は以外と長く、合成THCを使った医薬品もあります。天然由来を好むユーザーがいる以上、フルスペクトラムやホールプラント(自然のまま)のマーケットが無くなる事はないでしょう。むしろレアカンナビノイドの合成によって新たな製品の可能性が色々生まれると言った所だと思います。何にしろ、カンナビノイドの研究が進み続けるのは素晴らしい事ですね。

カンナビノイドニュースカテゴリの最新記事